GPT-5.6でCodexは何が変わった?
Sol/Terra/Lunaの使い分けガイド
\n3段階のモデル体系をどう選び、どうconfig.tomlに落とし込むか。既存パイプラインの移行ポイントまで解説します。
\n2026年7月9日、OpenAIはGPT-5.6をChatGPT・Codex・APIで一般提供を開始しました。今回の大きな変化は、1つのモデルではなく「Sol」「Terra」「Luna」という3段階のモデル体系になったことです。Codexユーザーにとっては「どのタスクにどのモデルを割り当てるか」が新しい設計課題になります。
\n\n\n\nSol / Terra / Lunaの違い
\n\n| モデル | 位置づけ | 料金(入力/出力、100万トークンあたり) | 向いているタスク |
|---|---|---|---|
| Sol | 最上位・フラッグシップ | $5 / $30 | アーキテクチャ決定、セキュリティレビュー、複数ファイルにまたがる大規模リファクタ |
| Terra | バランス型 | $2.50 / $15 | 日常的な機能実装、バグ修正、テスト作成 |
| Luna | 高速・低コスト | $1 / $6 | 定型的なボイラープレート生成、ドキュメント整備、フォーマット |
APIのモデルIDはそれぞれgpt-5.6-sol・gpt-5.6-terra・gpt-5.6-lunaです。OpenAIによれば、Solはエージェント型のコーディングタスクにおいてトークン効率が54%向上したとされています。
「gpt-5.6」だけ指定するとSol扱いになる
\nAPIではgpt-5.6という指定はgpt-5.6-solのエイリアスとして扱われます。「バランス型のつもりで指定したら最上位モデルの料金だった」という事故を避けるため、ティア名まで含めて明示的に指定することをおすすめします。
Codexでの基本設定
\n\n~/.codex/config.toml
\nmodel = "gpt-5.6-sol"\nmodel_reasoning_effort = "ultra"\nrollout_token_budget = 500000\nSol限定の新しい推論レベルとしてultraが追加されています。ただしultraモードは通常の推論より1ターンあたりのトークン消費が大幅に増えるため、rollout_token_budgetでの上限設定は必須と考えてください。
プロファイルでタスクごとに切り替える
\n\n3つのプロファイルを用意しておけば、タスクの性質に応じて起動時に切り替えられます。
\n\n~/.codex/sol.config.toml
\nmodel = "gpt-5.6-sol"\nmodel_reasoning_effort = "high"\nrollout_token_budget = 500000\n~/.codex/terra.config.toml
\nmodel = "gpt-5.6-terra"\nmodel_reasoning_effort = "medium"\n~/.codex/luna.config.toml
\nmodel = "gpt-5.6-luna"\nmodel_reasoning_effort = "low"\n実行時の切り替え
\ncodex --profile sol "認証まわりの設計を見直したい"\ncodex --profile terra "ユーザー登録APIを実装して"\ncodex --profile luna "READMEにセットアップ手順を追記して"\nサブエージェントごとにモデルを割り当てる
\n\n~/.codex/agents/配下の個別設定で、サブエージェントごとに異なるモデルを割り当てられます。定型作業を担当するサブエージェントには、Lunaのような軽量モデルを割り当ててコストを抑える設計が有効です。
~/.codex/agents/lint-agent.toml
\n[agent]\nname = "lint-sweep"\nmodel = "gpt-5.6-luna"\ninstructions = "ロジックを変更せず、リンタ警告のみを修正する"\nAGENTS.mdにモデル選択の指針を書く
\n\nチームで運用する場合、AGENTS.mdに選択基準を明文化しておくと、メンバーやCodex自身がモデルを選ぶ際の判断がぶれません。
\n\nAGENTS.md
\n## Model Selection\n\n- Sol:アーキテクチャ決定、セキュリティレビュー、複数ファイルリファクタ\n- Terra:標準的な機能実装、バグ修正、テスト作成\n- Luna:ドキュメント整備、フォーマット、サブエージェントタスク\n- セキュリティ関連は reasoning_effort を high 以上にする\n- ultraモードは必ず rollout_token_budget で上限を設定する\n既存パイプラインの移行ポイント
\n\ncodex execを使ったCI/CDパイプラインなどで、モデル名をgpt-5.5のように直接埋め込んでいる場合は見直しが必要です。
- \n
- コスト重視で乗り換えるなら:多くの用途でTerraが受け皿になります \n
- 品質重視で乗り換えるなら:Solへの切り替えを検討します \n
- GPT-5.5固有の指示(プロンプト内の細かい振る舞い調整など)が残っている場合は、ティアごとの特性に応じて内容を見直してください \n
コストを監視する
\n\n複数モデルを併用する運用では、どのモデルがどれだけトークンを消費しているかを可視化しておくと安心です。フックを使えば簡単なログを残せます。
\n\nhooks/post-tool-use-cost-log.sh
\n#!/usr/bin/env bash\necho "$(date -u +%FT%TZ) model=$CODEX_MODEL tokens_used=$CODEX_TOKENS_USED" \\\n >> "$HOME/.codex/cost-log.txt"\n実測:同じタスクを3モデル×3回試した
\n\n上の表は各モデルの位置づけですが、実際にどれだけ差が出るのかは自分のタスクで測らないと分かりません。ここでは同一のバグ修正タスクを3モデル×3回ずつ、計9回実行して計測した結果を載せます。
\n\n検証条件:Codex CLI 0.144.5(macOS)/model_reasoning_effort = "high" で統一しモデルのみ変更/お題は営業日按分を計算するPythonコードに仕込んだバグを直して2件のテストを通すこと/実行ごとに作業ディレクトリを作り直して同一の初期状態から開始/プロンプトは3モデル共通の1文でヒントなし。お題は1種類・各3回のみのため、難易度の高いタスクでの差は測れていません。
| モデル | 成功率 | トークン(3回) | 平均 | ばらつき | 平均所要時間 |
|---|---|---|---|---|---|
| Terra | 3/3 | 11,442 / 12,550 / 12,595 | 約12,200 | ±5%(最小) | 26秒 |
| Luna | 3/3 | 20,589 / 14,371 / 21,797 | 約18,900 | ±20% | 35秒 |
| Sol | 3/3 | 27,449 / 13,067 / 25,845 | 約22,100 | ±34%(最大) | 33秒 |
3モデルとも正解し、修正内容もほぼ同一だった
\n\n9回すべてでテストが通りました。それだけでなく、TerraとSolが出した修正は完全に同じ1行でした。
\n\n- worked = business_days_between(start, end, holidays)\n+ worked = business_days_between(start, min(end, month_end), holidays)\nここから言えるのは、「テストという明確な合格条件があり、修正範囲が1ファイルに収まる」タスクでは、モデルを上げる意味がほとんどないということです。上の表でTerraに割り当てた「日常的な機能実装、バグ修正、テスト作成」という区分は、実測でも妥当でした。
\n\nいちばん安いモデルが、いちばん安いとは限らない
\n\nLunaはTerraより約1.5倍のトークンを使いました。Lunaは3モデルで最も単価が安い軽量モデルですが、平均18,900トークンとTerraの12,200を大きく上回りました。単価まで含めた概算では、Terraは単価がLunaの2.5倍でトークンが0.65倍なので、支払い額の差は1.6倍程度まで縮まります。加えてTerraのほうが速く安定しているため、「Lunaに下げれば大幅に安くなる」という期待は外れる可能性があります。
\n理由は推測になりますが、軽量モデルは一度で正解に辿り着けず、ファイルを読み直したり試行を重ねたりする回数が増えるためと考えられます。支払い額は単価×トークン数で決まるため、単価だけを見て選ぶと判断を誤ります。定型的なボイラープレート生成やドキュメント整備といった「思考をあまり必要としない作業」であれば、Lunaの単価が素直に効いてきます。
\n\nSolは消費のばらつきが大きい
\n\nSolは同じタスクの3回で13,067〜27,449トークンと、2倍以上の開きが出ました。少ないときはTerraと大差ありませんが、多いときはTerraの2倍以上です。
\n\n予算を見積もる立場からすると、平均が高いことよりも「上振れが読めない」ことのほうが扱いにくいという側面があります。定型処理を大量に回す用途では、平均が安くばらつきの小さいTerraのほうが管理しやすい選択になります。上限を確実に抑えたい場合は、前述の rollout_token_budget を必ず設定してください。
自明なタスクではSolだけが突出した
\n\nベンチマークの前に「1+1の答えだけを出力してください」という自明な質問も投げています(各1回)。
\n\n| モデル | 消費トークン |
|---|---|
| Sol | 19,347 |
| Luna | 6,490 |
| Terra | 6,145 |
Solだけが3倍以上を消費しました。答えはどれも「2」です。簡単な質問をSolに投げるのは、素直に無駄です。デフォルトをSolに固定している場合、この差が地味に積み上がります。
\n\n実測を踏まえた運用:設定ファイルのデフォルトをTerraにしておき、難しいタスクのときだけ --profile sol や -m gpt-5.6-sol で上げるのが、もっとも無駄が少ない形です。逆に「デフォルトSolで簡単なときだけ下げる」にすると、下げ忘れたぶんがそのままコストになります。忘れたときに損をしない側をデフォルトにしてください。
この検証の限界:お題は1種類、各モデル3回のみです。難易度の高いタスク(大規模リファクタリングや長時間の自律作業)での差は検証していません。Solが優位に立つのはそうした領域だと考えられます。またトークン消費は実行ごとに変動するため、1回だけの計測で判断せず、自分の典型的なタスクで複数回試すことをおすすめします。
\nよくある質問
\n\nQ. 迷ったらどのモデルを選べばいいですか?
\nA. 日常的な機能実装やバグ修正であればTerraが無難な出発点です。設計判断が絡む重いタスクの時だけSolに切り替える、という運用が費用対効果に優れています。
\nQ. ultraモードは常用すべきですか?
\nA. おすすめしません。1ターンあたりのトークン消費が大幅に増えるため、複雑な設計判断など「質が最優先」の場面に限定し、必ずトークン予算の上限とセットで使ってください。
\nQ. GitHub Copilotでも使えますか?
\nA. Sol・Terra・LunaはGitHub Copilotでも利用可能になっています。Codex CLI固有の設定(config.tomlやプロファイル)はCopilot側には引き継がれないため、それぞれの環境で個別に設定が必要です。
\nモデル自体の仕様や料金を先に押さえたい場合はGPT-5.6(Sol・Terra・Luna)とは?性能・料金・使い方をご覧ください。
まとめ
\n\n本記事のポイント
\n- \n
- GPT-5.6はSol(高性能)・Terra(バランス)・Luna(高速・低コスト)の3段階体系 \n
- APIの
gpt-5.6という指定はSolのエイリアス。意図しない高額課金を避けるため明示指定を推奨 \n - Codexではプロファイル・サブエージェント単位のモデル指定・AGENTS.mdでの指針記述を組み合わせて使い分ける \n
- Sol限定の
ultra推論モードはトークン予算の上限設定とセットで運用する \n - 既存パイプラインでモデル名をハードコードしている場合は、コスト重視ならTerra、品質重視ならSolへの移行を検討 \n
まずは日常タスクをTerraに任せ、重い設計判断が出てきた時だけSolを呼び出す、という運用から試してみてください。プロファイルさえ用意しておけば、切り替えは一瞬です。
\n\n※本記事の情報は2026年7月時点のものです。GPT-5.6は展開が始まったばかりのため、料金・仕様は変更される可能性があります。
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