ルーターのセキュリティ設定を見直す手順|管理パスワード・ファームウェア・WPS・サポート切れの確認
家庭用ルーターは、設定したまま何年も触らない機器の代表です。警視庁は、セキュリティ対策をしていないルーターが、サイバー攻撃者に「犯罪インフラ」として悪用される可能性があると注意しています。この記事では、警視庁と総務省の資料で確認できる点検項目を、手順に直して順番に確認します。
先に結論:5つを順に確認すれば足ります
- 管理画面のパスワードが、初期設定のままになっていないか
- ファームウェアが最新か(自動更新があれば、オンにする)
- メーカーのサポートが切れていないか
- 無線LANの暗号化方式とパスワードが、十分に強いか
- 身に覚えのない設定(VPN・DDNS・知らないユーザー)が増えていないか
あわせて、使っていなければWPS(PIN方式)や、外部から管理画面に入れるリモート管理を切っておくと、入り口を減らせます。ただし、この2つは公的資料ではなく、メーカー情報で確認できた範囲の話です(後ほど説明します)。
この記事で使った情報源
警視庁サイバー攻撃対策センターのリーフレット「家庭用ルーターのセキュリティ対策」、総務省「国民のための情報セキュリティサイト」のWi-Fi(無線LAN)のページ、Aterm(NEC)のWPSに関するサポート情報、NETGEARのサポート情報です。機種ごとの操作画面は、メーカーで違います。具体的な画面や項目名は、お使いの機種の取扱説明書で確認してください。
なぜ、ルーターを見直す必要があるのか
ルーターは、家の中のスマホ・パソコン・テレビ・防犯カメラなどを、インターネットにつなぐ出入口です。ここが乗っ取られると、通信を覗かれたり、攻撃の中継に使われたりするおそれがあります。警視庁のリーフレットも、「セキュリティの弱い家庭用ルーターがサイバー攻撃に悪用されています」と呼びかけています。
しかも、ルーターは、パソコンやスマホと違って、画面に「更新してください」と出ることが少なく、気づかないまま古い状態が続きやすい機器です。年に1〜2回でいいので、点検の日を決めておくのがおすすめです。
始める前に:必要なもの
- ルーターの機種名(本体のラベルに書かれています)
- 取扱説明書、またはメーカーのサポートページ(機種名で検索できます)
- 管理画面にログインするためのIDとパスワード(初期値は、本体のラベルや説明書にあることが多いです)
- パソコン、またはスマホ(ルーターにつないだ状態で作業します)
プロバイダーから借りているルーターの場合
光回線などで、事業者から貸し出されたルーターは、設定の変更や更新が、事業者の管理で行われるものがあります。自分で変えられる範囲は、契約先のサポートページで確認してください。この記事の手順が、そのまま使えるとは限りません。
手順1:管理画面のパスワードを初期設定から変える
警視庁は、古いルーターの初期設定パスワードは推測しやすいものが多く、危険だと説明しています。変更するときは、英大文字・英小文字・数字・記号を含めた複雑なものにするよう勧めています。
- ルーターの管理画面を開きます(アドレスは、説明書や本体のラベルに書かれています)。
- 管理者のパスワード(管理画面にログインするためのパスワード)の変更画面を探します。
- 新しいパスワードを設定し、パスワードマネージャーなどに保存します。
管理画面のパスワードと、Wi-Fiのパスワードは別物です
管理画面のパスワードは、ルーターの設定を変えるためのものです。Wi-Fiにつなぐときのパスワード(暗号化キー)とは別なので、両方を確認してください。長いパスワードは覚えにくいため、パスワードマネージャーに預けるのが現実的です。選び方は、パスワードマネージャーの比較記事にまとめています。
手順2:ファームウェアを最新にする
ファームウェアは、ルーターの中で動くソフトウェアです。警視庁は、各メーカーから更新プログラムが配信されているので、常に最新のものにアップデートするよう勧めています。また、ルーターの自動アップデート機能を使うと、高いセキュリティが保たれるとしています。
- 管理画面で、現在のファームウェアのバージョンを確認します。
- 「ファームウェア更新」「ソフトウェア更新」などの項目で、更新を確認します。
- 自動更新の設定があれば、オンにします。
- 更新中は、電源を切らないでください(機種によっては、数分かかります)。
更新後に、つながらなくなったら
更新の完了後は、ルーターが再起動します。数分待っても、つながらないときは、説明書の手順に従って再起動し、それでも直らなければ、メーカーのサポートに問い合わせてください。更新の前に、設定内容のバックアップができる機種では、取っておくと安心です。
手順3:メーカーのサポートが切れていないか確認する
メーカーのサポート(ファームウェアの提供)が終わった機種は、新しく見つかった弱点が直されません。警視庁は、そのような機種は危険で、サポート期間は各メーカーのホームページで確認でき、サポート切れのものは買い替えを検討するよう呼びかけています。総務省のWi-Fiのページも、サポート期間内の機種を使うことを、対策の1つに挙げています。
- 機種名で、メーカーのサポートページを検索します。
- 「販売終了」「サポート終了」「ファームウェアの提供終了」などの表記を探します。
- 終了していれば、新しい機種への買い替えを考えます。
古い機種を、いつまで使うかは、買い替えの費用との兼ね合いです。ただ、サポートが切れている機種は、更新で守ってもらえないという点だけは、押さえておいてください。
手順4:無線LANの暗号化方式とパスワードを確認する
総務省は、家庭のWi-Fiの対策として、暗号化方式にWPA2またはWPA3を選ぶこと、第三者に推測されにくい長く複雑なパスワードにすることを挙げています。
- 管理画面の「無線LAN設定」「Wi-Fi設定」などを開きます。
- 暗号化方式(セキュリティ方式)を確認します。WPA2またはWPA3になっていればOKです。
- 暗号化キー(Wi-Fiのパスワード)が、短い・単純なものなら、長いものに変えます。
パスワードを変えたあとの注意
Wi-Fiのパスワードを変えると、すでにつながっている機器は、いったん切れます。スマホ・パソコン・テレビ・ゲーム機などで、新しいパスワードを入れ直す必要があります。家族がいる場合は、先に知らせておくとスムーズです。
手順5:身に覚えのない設定がないか確認する
警視庁は、身に覚えのない設定(VPN機能、DDNS機能など)がされていたり、知らないユーザーが追加されていたりする場合は、ルーターを初期化し、最新のファームウェアにアップデートしたうえで、複雑なパスワードに再設定するよう説明しています。なお、VPN機能やDDNS機能が搭載されていないルーターもあります。
- 管理画面で、VPN・DDNS・ユーザー(アカウント)の設定画面を開きます。
- 自分で設定した覚えのない項目がないか見ます。
- あやしい項目があれば、初期化→最新のファームウェアに更新→パスワードを再設定の順に進めます。
初期化の前に
初期化すると、プロバイダーの接続設定も消えます。契約書類や、プロバイダーの案内(接続ID・パスワードなど)を、先に手元に用意してください。
余裕があれば:WPS(PIN方式)とリモート管理を切る
WPS(PIN方式)
WPSは、ボタンやPINコードで、機器を簡単にWi-Fiにつなぐ機能です。Aterm(NEC)のサポート情報では、PIN方式の認証仕様に弱点があり、PINコードを総当たりで試す攻撃を受けるおそれがあると説明されています。同じ情報の中で、プッシュボタン方式には、現時点で弱点は報告されていないとも書かれています。
Atermでは、機種によって、ファームウェアの更新で対処するか、「クイック設定Web」でPIN方式を「使用しない」に設定する方法が案内されています。お使いのルーターがAtermでなくても、PIN方式を使っていなければ、切っておくという考え方は変わりません。項目名は機種で違うため、説明書で確認してください。
リモート管理(外部からの管理画面アクセス)
リモート管理は、家の外から、インターネット経由でルーターの管理画面に入れる機能です。NETGEARのサポート情報には、この機能が、既定でオフになっている製品がある旨の説明があります。自分で有効にした覚えがなく、外から設定を変える予定もなければ、オフのままにしておくのが無難です。すでにオンになっていて、使い道もわからない場合は、オフに切り替えるか、メーカーに確認してください。
この2点の位置づけ
WPSとリモート管理は、警視庁・総務省の資料の主な項目ではありません。メーカーのサポート情報から確認できた範囲で、補足として書いています。まずは、手順1〜5を優先してください。
よくあるつまずきと対処
| 困りごと | 考えられる原因と対処 |
|---|---|
| 管理画面にログインできない | パスワードを、変更後のものに入れ替えていないか確認します。わからなければ、初期化が必要になる場合があります(接続設定が消えるため、準備してから)。 |
| 更新の項目が見当たらない | 機種によって、更新の方法が違います。説明書か、メーカーのサポートページで確認します。サポートが終わっている可能性もあります。 |
| パスワードを変えたら、機器がつながらない | 各機器で、Wi-Fiの設定をやり直し、新しいパスワードを入れます。 |
| 事業者のルーターで、設定が変えられない | 契約先のサポートに問い合わせます。自分で買った、別のルーターを間に使う手もありますが、接続方法の確認が必要です。 |
よくある質問
Q. 点検は、どのくらいの頻度でするとよいですか?
警視庁は、定期的に自宅のルーターの状態を確認するよう呼びかけています。年に1〜2回、決まった日(たとえば、年末と、年度の変わり目)に確認する習慣にすると、忘れにくくなります。
Q. 自動更新をオンにしておけば、安心ですか?
自動更新は有効ですが、サポートが切れた機種には、そもそも更新が来ません。自動更新の設定と、サポート期間の確認は、セットで考えてください。
Q. 管理画面の場所がわかりません。
本体のラベルや、取扱説明書に、アドレスが書かれていることが多いです。機種名とあわせて、メーカーのサポートページで調べるのが確実です。
まとめ
- 管理画面のパスワードは、初期設定のままにせず、複雑なものに変える
- ファームウェアは常に最新に。自動更新があれば、オンにする
- メーカーのサポートが切れた機種は、買い替えを検討する
- 暗号化はWPA2またはWPA3、パスワードは長く複雑に
- 身に覚えのないVPN・DDNS・ユーザーがあれば、初期化して最新の状態にし、パスワードを設定し直す
ルーターの対策は、一度やれば、あとは年に数回の確認で済みます。今日は、機種名とサポート期間の確認だけでも、始めてみてください。更新を放置しない考え方は、WordPress・ルーター・IoT機器のチェックリストでも整理しています。


