Kimi Code実践設定ガイド|config.toml・MCP・Agent Skillsの使い倒し方
Kimi Codeは、インストールしてkimiと打つだけでも使えますが、設定ファイル・外部ツール接続・再利用可能な指示(Skills)を使いこなすと、日常のコーディング作業に組み込める本格的なエージェントに変わります。この記事では、Kimi Code公式ドキュメントに基づき、プロバイダー切り替え、プロジェクト固有ルールの渡し方、MCPサーバー接続、Agent Skillsの作り方までを実装例付きで解説します。
Kimi Codeとは:ターミナルで動くコーディングエージェント
Kimi Codeは、Moonshot AIが提供する公式のコーディングエージェントです。ターミナルからkimiコマンドで起動し、自然言語の指示でコードベースの調査・編集・コマンド実行・テストまでを進めます。基本的なインストール手順とWeb版・API版の使い方はKimi K3のセットアップガイドで解説済みなので、この記事ではすでにインストールが済んでいる前提で、実務で使うための設定を扱います。
設定ファイル一式は~/.kimi-code/ディレクトリにまとまっており、主に次の3つを使いこなすことになります。
| 設定対象 | ファイル・コマンド | 役割 |
|---|---|---|
| プロバイダー・モデル | config.toml / /provider | どのAI・どのモデルを使うか |
| プロジェクト固有ルール | AGENTS.md | コーディング規約・禁止事項 |
| 外部ツール接続 | mcp.json / /mcp-config | DB・API・社内ツールへのアクセス |
| 再利用可能な指示 | SKILL.md | 繰り返す作業の手順化 |
config.tomlでプロバイダー・モデルを切り替える
Kimi Codeは、Kimi K3専用のツールではなく、Anthropic・OpenAI互換を含む複数のプロバイダーを切り替えて使える設計になっています。設定は~/.kimi-code/config.tomlに書きます。
# ~/.kimi-code/config.toml
[providers.kimi]
type = "kimi"
base_url = "https://api.moonshot.ai/v1"
api_key = "sk-xxxxx"
[providers.anthropic]
type = "anthropic"
api_key = "sk-ant-xxxxx"
[models."claude-opus-4-7"]
provider = "anthropic"
model = "claude-opus-4-7"
max_context_size = 200000
手動でTOMLを編集する代わりに、対話画面で/providerを実行すると、矢印キーでプロバイダー一覧を操作しながら追加・編集できます。設定ファイルを直接触りたくない場合はこちらが手軽です。
~/.kimi-code/config.tomlと同じディレクトリに、ターミナルUIやクライアントの見た目の設定をまとめたtui.tomlも置かれます。プロバイダー・モデルの設定とUI設定は別ファイルで管理されている、と覚えておくと迷いません。
AGENTS.mdでプロジェクト固有のルールを渡す
コーディング規約・禁止事項・プロジェクトの前提知識は、リポジトリ直下のAGENTS.mdに書いておくと、Kimi Codeが起動のたびに読み込みます。ファイルがまだない場合は、対話画面で次のコマンドを打つだけで、Kimi自身がコードベースを分析して生成してくれます。
/init
生成された内容はあくまで叩き台なので、実際のチームのルール(テストの書き方、触ってはいけないディレクトリ、レビュー基準など)に合わせて手で調整することをおすすめします。
MCPサーバーを接続して外部ツールを使わせる
MCP(Model Context Protocol)を使うと、Kimi Codeにデータベース・社内API・ドキュメント検索といった外部ツールへのアクセスを持たせられます。設定はmcp.jsonというJSONファイルに書きます。
| スコープ | ファイルパス | 適用範囲 |
|---|---|---|
| ユーザー単位 | ~/.kimi-code/mcp.json | すべてのプロジェクトで共通 |
| プロジェクト単位 | .kimi-code/mcp.json(作業ディレクトリ直下) | そのリポジトリのみ |
同名のサーバーがユーザー単位・プロジェクト単位の両方に定義されている場合は、プロジェクト単位の設定が優先されます。
// .kimi-code/mcp.json
{
"mcpServers": {
"filesystem": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "@modelcontextprotocol/server-filesystem", "/tmp"]
},
"linear": {
"url": "https://mcp.linear.app/mcp"
}
}
}
JSONを直接編集する代わりに、対話画面で/mcp-configを実行すると追加・編集・削除ができます。接続状況を確認したいときは/mcpで一覧表示できます。
MCPはオープンな標準規格のため、Claude Code・Codex向けに自作したMCPサーバーも、同じcommand・argsの構成でKimi Codeに接続できます。自作MCPサーバーの作り方はこちらの記事で解説しています。
Agent Skillsで繰り返す作業を手順化する
Skillsは、決まった手順やチェックリストをSKILL.mdというファイルに書いておき、必要なときにKimi Code自身が判断して読み込む仕組みです。同じ指示を毎回チャットに貼り付けている作業があれば、Skill化する価値があります。
Skillの置き場所
| 範囲 | ディレクトリ |
|---|---|
| ユーザー共通 | ~/.kimi-code/skills/ または ~/.agents/skills/ |
| プロジェクト単位 | .kimi-code/skills/ または .agents/skills/ |
| 追加ディレクトリ | config.tomlのextra_skill_dirsで指定 |
| ビルトイン | CLIに同梱(優先度は最も低い) |
SKILL.mdの書き方
---
name: code-style
description: プロジェクトのコードスタイル規約。命名規則・インデント・コメントの書き方を定義
type: prompt
whenToUse: ユーザーがプロジェクトのソースコードの記述・レビューを依頼したとき
---
以下のガイドラインに従ってコードを扱ってください。
- インデントは半角スペース2つ
- 変数名は camelCase、型名は PascalCase
| フィールド | 内容 |
|---|---|
name | Skill名(ディレクトリ形式のSKILL.mdでは必須) |
description | 1行の要約。モデルがいつ使うか判断する材料になる |
type | prompt(既定)・inline・flow |
whenToUse | 発動条件の説明 |
disableModelInvocation | trueにすると自動発動を無効化し、明示呼び出しのみにする |
arguments | 名前付き引数のリスト |
ユーザー単位のSkill置き場所に~/.agents/skills/という選択肢があるのは偶然ではありません。Claude CodeのSkillsも「Agent Skills」というオープンな標準規格に準拠しており、Kimi Codeも同じ規約のディレクトリを読みに行きます。すべてのSkillがそのまま両対応するとは限りませんが、シンプルな指示ベースのSkillであれば、ツールをまたいで使い回せる可能性があります。
サブエージェントで役割を分ける
Kimi Codeには3種類のビルトインサブエージェントがあり、タスクの性質に応じて使い分けられます。
| サブエージェント | できること |
|---|---|
coder(既定) | ファイルの読み書き・コマンド実行・コード検索まで行う汎用エンジニア役 |
explore | コードベースの調査専用。読み取り操作のみで、ファイルは一切変更しない |
plan | 実装計画・設計専用。シェルコマンドの実行すらできない |
Claude Codeの.claude/agents/*.mdやCodexの~/.codex/agents/*.tomlのように、独自のサブエージェントをファイルで定義する方法は、Kimi Codeの公式ドキュメントには2026年7月時点で見当たりませんでした。現状はビルトインの3種類(coder・explore・plan)を使い分ける運用が基本になります。この点は今後のアップデートで変わる可能性があるため、断定はせず「現時点では」という留保付きで理解してください。
既存のClaude Code・Codexプロジェクトから移行する
すでにClaude CodeやCodexで運用しているプロジェクトがある場合、ゼロから設定を作り直す必要はありません。対話画面で次のコマンドを実行すると、既存の指示ファイル・Skills・MCP設定をKimi Code向けに移行できます。
/import-from-cc-codex
CLAUDE.md・AGENTS.mdといった指示ファイルの内容、登録済みのSkills、MCPサーバーの設定を、Kimi Code用の形式に変換して取り込みます。「Kimi K3を試してみたいが、既存のプロジェクト設定を作り直すのは面倒」という場合の入り口として使えます。
複数のコーディングエージェントを併用する場合の考え方
Kimi Code・Claude Code・Codexはそれぞれ設定ファイルの置き場所が独立している(~/.kimi-code/・~/.claude/・~/.codex/)ため、同じプロジェクトで複数を併用しても設定が衝突することはありません。MCPサーバーの設定のように、JSON構造が近いものは使い回しやすく、Skillsのように標準規格に沿ったものは移植しやすい、という違いがあります。
「難所はFable 5やSol、大量処理やコスト重視のタスクはKimi K3」といった使い分けをする場合、この記事で紹介したconfig.tomlでのプロバイダー切り替えや/import-from-cc-codexを使うと、環境を分けずに移行・比較がしやすくなります。
よくある質問
Q. config.tomlとmcp.jsonはどちらもGit管理してよいですか?
プロジェクト単位の.kimi-code/mcp.jsonにAPIキーを直書きしている場合は、Git管理下に置くと鍵が漏洩します。APIキーは環境変数経由で読み込む設定にするか、.gitignoreに追加してください。AGENTS.mdやSkillのようにチームで共有すべき内容だけをリポジトリに含めるのが安全です。
Q. SkillはClaude CodeのSKILL.mdとまったく同じ書き方で動きますか?
基本的なfrontmatter(name・description)は共通の考え方ですが、Kimi Code独自のフィールド(type・whenToUse・disableModelInvocation)もあります。単純な指示ベースのSkillなら流用しやすい一方、ツール固有の機能を使ったSkillはそのままでは動かない場合があります。
Q. MCPサーバーの接続がうまくいきません
まず/mcpで接続状況を確認してください。プロジェクト単位とユーザー単位の両方に同名のサーバーを定義していないか、JSONの構文エラーがないかを確認するのが基本的な切り分け方法です。
Q. AGENTS.mdはClaude CodeのCLAUDE.mdと同時に使えますか?
ファイルとしては別物ですが、/import-from-cc-codexを使えばCLAUDE.mdの内容をKimi Code用に取り込めます。同じリポジトリに両方のファイルを置いておき、それぞれのツールに応じて参照させる運用も可能です。
まとめ
- 設定は
~/.kimi-code/config.tomlに集約。/providerで対話的にプロバイダー・モデルを切り替えられる /initでAGENTS.mdを自動生成し、プロジェクト固有のルールを渡す- MCPは
mcp.json(ユーザー単位/プロジェクト単位)で管理し、/mcp-config・/mcpで対話的に操作できる - Agent SkillsはSKILL.mdとして複数の場所に置ける。オープン標準準拠のためClaude Code等と部分的に使い回せる
- ビルトインサブエージェントはcoder/explore/planの3種。カスタム定義は現時点で非公開
/import-from-cc-codexで既存のClaude Code・Codexプロジェクトの設定を移行できる
まずは/initでAGENTS.mdを作るところから始めてみてください。プロジェクトの前提をKimi Codeに理解させるだけで、指示の精度が大きく変わります。

