公開コード・公式ドキュメントから読み解く
Claude Code・Codex・Antigravityの「中身」はどう違う?
同じ依頼を渡したとき、AIがどのようにコードを読み、編集し、人の確認を受けるのか。初めて使う人向けに仕組みから整理します。
Claude Code・Codex・Google Antigravityの内部構造は、土台の考え方は似ていますが、作業を管理する仕組みと、人が確認する場所に違いがあります。 この記事では2026年10月4日時点の公式資料と公開リポジトリを確認し、「実際に確かめられたこと」と「外からは分からないこと」を分けて比較します。性能ランキングや、使ってみた感想の比較ではありません。
先に結論:3つとも「AIモデルが考え、ツールが作業し、その結果をAIが再び読む」という形です。Claude Codeは作業セッションと拡張機能、Codexは公開された中核コードとクライアント連携、Antigravityはプロジェクト・複数エージェント・成果物レビューの設計が、資料から特にはっきり見えます。
まず共通点:「モデル」と「作業する仕組み」は別物
AIコーディングツールを理解するには、モデルは判断役、エージェントの実行基盤(ハーネス)は作業道具と交通整理役と考えると分かりやすいです。例えば「ログイン画面のエラーを直して」と頼むと、モデルが読むファイルを選び、実行基盤がファイルを取得します。その内容を見て修正し、テストの結果を読み、必要なら再修正します。
Anthropicはこれを「情報収集・実行・検証」のループとして説明し、Claude Codeをモデルの周囲でツールと文脈を管理する層と位置づけています。GoogleもAntigravity CLIとデスクトップ版が共通のエージェント基盤を使うと説明しています。したがって、3製品がまったく別原理で動いている、と考えるのは正確ではありません。一方、ループの周辺設計は同じではありません。Claude Codeの動作説明/Antigravity CLIの概要
何を確認できた?公開資料の範囲を先に比較
| ツール | 実際に確認したもの | そこから言えること | 公開資料だけでは分からないこと |
|---|---|---|---|
| Claude Code | 公式GitHub、仕組みの説明、ライセンス | エージェントの作業ループ、セッション保存、拡張方法は公式説明で確認できる | 本体の詳細な内部実装は公開リポジトリから追えない |
| Codex | codex-coreのREADME、プロトコル資料、App Serverの仕様 | 中核の役割、実行権限の扱い、アプリとの通信をコードと仕様から確認できる | 非公開のIDE拡張・クラウド側まで同じ粒度では追えない |
| Antigravity | 公式CLIリポジトリ、CLI資料、Project資料 | CLIとデスクトップ版の共通基盤、作業範囲、成果物レビューの設計を確認できる | 公開リポジトリにエージェント本体の実装が見当たらず、内部コードを直接比較できない |
「確認できない」は「機能が存在しない」という意味ではありません。公開範囲が異なるため、この記事の比較は、コードと公式資料で裏づけられる範囲に限定しています。
違い①:作業の中心をどこに置くか
Claude Code:ディレクトリと会話セッションを起点に作業
Claude Codeはターミナルで起動して作業する設計です。公式資料によると、現在のディレクトリのファイル、Gitの状態、プロジェクトの指示を書いたCLAUDE.mdなどを文脈として使います。会話とツールの結果はローカルのJSONLファイルに保存され、再開・分岐できます。スキル、MCP、フック、サブエージェントは、この基本ループを広げる仕組みです。公式説明
読み方:「今開いている作業場所で、会話しながら実装する」という単位をつかむと理解しやすいです。デスクトップやIDEからも利用できますが、公式資料は同じ基本ループを異なる画面から使うと説明しています。
Codex:公開された中核と、それに接続する画面を分ける
Codexの公開リポジトリでは、codex-rs/coreのREADMEが中核の処理を実装する部分と明記しています。実際にtools/router.rsの実装を見ると、モデルへ見せるツールの仕様を保持し、モデルが返したツール呼び出しを実行用の形式に組み立てるToolRouterが定義されています。「モデルが直接PCを動かす」のではなく、実行基盤がツールとの間に入ることをコードでも確認できます。
さらにApp Serverは、認証、会話履歴、承認要求、作業中のイベントをIDEなどのクライアントへ渡す窓口です。プロトコル資料には「ユーザー入力」「実行承認」「ターン開始」といった通信の種類が載っています。つまり、エージェントの処理と、それを表示・操作する画面を分ける構造を、公開コードと仕様で具体的に確認できます。中核のREADME/App Server
実行環境の制御もコード側で説明されています。たとえば公開READMEでは、macOSで書き込める場所やネットワークの扱いをサンドボックスポリシーで制御すると記されています。これは「モデルに気をつけてと指示する」だけでなく、実行側で権限を制限する例です。ただし、設定やOSで動作は変わります。サンドボックスの実装説明
Antigravity:Projectを作業範囲にし、成果物をレビューする
Antigravityの公式資料では、1つのProjectに複数フォルダを含め、プロジェクトごとに作業範囲と権限を設定できます。CLIとデスクトップ版は共通のエージェント基盤を使うと明記されています。デスクトップ版は複数エージェントの管理やブラウザー操作も前面に出しています。Projectの説明/製品概要
特徴的なのはArtifact(成果物)です。計画、コード差分、図、ブラウザー操作の記録などをレビューでき、設定によっては編集前の節目でフィードバックを返せます。ツール呼び出しを一行ずつ追うだけでなく、まとまった成果物を確認して方向修正する設計です。Artifactの説明
違い②:同じ「バグ修正」を頼むと、何を確認する?
たとえば「ログイン後に画面が白くなる原因を調べて修正して」と頼む場面を考えます。次は製品の能力順位ではなく、公開資料から読み取れる、人間側の確認ポイントの違いです。
| ツール | 利用者がまず確認するとよい場所 | なぜそこを見る? |
|---|---|---|
| Claude Code | 会話内のツール実行結果、変更ファイル、テスト結果 | セッションを中心に、何を読み、どう修正し、どう検証したかをたどれるため |
| Codex | 変更差分、実行イベント、承認要求 | 中核の作業がイベントとして画面に届き、コマンドやファイル変更の承認を扱うため |
| Antigravity | 計画・差分などのArtifact、Projectの権限設定 | 成果物単位のレビューと、対象フォルダ・操作の範囲指定が設計の中心にあるため |
どのツールでも、提案された修正とテスト結果は人が確認する必要があります。特に「テストを実行した」という報告と「直った」は別です。失敗した再現手順をもう一度試し、変更差分に意図しない編集がないかを見るのが実践的です。
違い③:権限の決め方と、公開されている範囲
3製品ともファイル編集やコマンド実行を扱うため、権限設計は重要です。Claude Codeの公式資料はツール権限のルールを説明しています。Codexは承認要求がApp Serverを通じてクライアントへ送られることと、公開中核のサンドボックス処理を確認できます。Antigravityは「拒否・確認・許可」のルールをProject単位でも設定でき、macOS/Linuxの標準設定では隔離された環境内でコマンドを実行すると説明しています。Claude Codeの権限/Codexの承認通信/Antigravityの権限
この違いから「どれが最も安全」とは決められません。許可設定、OS、接続先、実際に与えた作業範囲によって結果が変わるためです。
なお、公開範囲だけを短く整理すると、Claude Codeの公式GitHubは公開されていますが、本体はオープンソースライセンスではありません。CodexはCLI・SDK・App Serverが公開され、リポジトリはApache 2.0です。一方、IDE拡張とクラウドは非公開です。Antigravity CLIにも公開GitHubはありますが、確認したリポジトリにエージェント本体のソースは見当たりません。GoogleのGemini CLIは別製品で、こちらはApache 2.0です。Claude Codeのライセンス/Codexの公開範囲/Antigravity CLIの公開リポジトリ
結局、どこを基準に選べばいい?
中身を知ったうえで選ぶなら、モデルの評判だけでなく、自分の作業の進め方に合わせるのが現実的です。
- ターミナルで会話と実装を進め、セッションや
CLAUDE.mdを軸にしたい:Claude Codeの設計を確認する。 - 中核の公開コードを読み、画面との通信やサンドボックスまで理解したい:Codexの
codex-rsとApp Serverの資料が最も追いやすい。 - 複数フォルダ・複数エージェントを扱い、計画や差分を成果物として確認したい:AntigravityのProjectとArtifactの設計を確認する。
ただし、これは各社が公開している設計の向き不向きです。同じ課題をどれが最速・最高精度で解けるかは、この資料調査だけでは判断できません。比較したいなら、同じリポジトリと同じ不具合を渡し、変更差分、再現テスト、作業にかかった時間をそろえて測る必要があります。
Antigravityの基本操作から知りたい方はGoogle Antigravityの使い方完全ガイドを、GoogleのAIコーディングツールの全体像はGoogleのAIコーディングツールと料金プランの解説を参照してください。
よくある疑問
Claude CodeのGitHubが見られるなら、内部コードも読める?
いいえ。GitHubリポジトリが公開されていることと、本体の実装がオープンソースとして公開されていることは別です。今回確認した公式リポジトリのライセンスは商用利用規約に基づく権利留保です。
Codexは全部オープンソース?
いいえ。OpenAIの公開一覧ではCLI・SDK・App Serverなどはオープンソースですが、IDE拡張とCodex cloudは非公開です。「Codex」という製品全体を一括りにして判断しないほうが正確です。
Antigravityの中身はGemini CLIと同じ?
同じだと確認できる資料はありません。Antigravityの公式資料が明記するのは、Antigravity CLIとAntigravity 2.0が共通のエージェント基盤を使うことです。Gemini CLIは別の公開リポジトリを持つ製品です。
調査日:2026年10月4日。上記は各社の公開コードと公式ドキュメントで確認できる範囲に基づきます。非公開の実装やモデル内部の推論方式については推測していません。

