似ている操作と、間違えやすい設定の違いを整理。2つのAIコーディングエージェントを無理なく併用するための実践ガイドです。
2026年7月17日時点の公式ドキュメントを基に解説
Codexの使い方は、Claude Codeを使ったことがある人なら難しくありません。プロジェクトのフォルダで起動し、自然言語で調査・実装・テストを頼む流れはよく似ています。
実際、両者には/model、/permissions、/compact、/mcp、/statusなど、同じ名前のコマンドが数多くあります。しかし、プロジェクト指示はCodexがAGENTS.md、Claude CodeがCLAUDE.mdを使い、設定ファイルや権限管理の考え方にも違いがあります。
この記事では、Codex CLIの基本操作を押さえたうえで、Claude Codeと併用するときに迷いやすいポイントを具体例つきで整理します。
- 日常の操作感はかなり近く、Claude Code利用者はCodexへ移行しやすい
- 同名コマンドでも、対象や保存範囲が同じとは限らない
- 共通ルールを
AGENTS.mdに置き、Claude Codeから読み込むと管理しやすい - 同じ作業ツリーを2つのエージェントに同時編集させないことが重要
Codexとは?
Codexは、OpenAIが提供するソフトウェア開発向けのAIエージェントです。ターミナルで動くCodex CLIでは、リポジトリの調査、ファイル編集、コマンド実行、テスト、コードレビューまでを会話形式で依頼できます。
この記事で扱うのは主にCodex CLIです。Codexにはデスクトップアプリ、IDE拡張、クラウドなど複数の利用画面がありますが、Claude Codeに最も近い操作感なのはターミナル版です。OpenAIの公式説明でも、Codex CLIはローカルリポジトリを調べ、編集し、既存ツールを実行できるターミナル向けエージェントとして案内されています。
Codex全体の機能やCLI・アプリ・クラウドの違いは、OpenAI Codexとは?できること・使い方・料金・CLIとの違いで詳しく解説しています。
Claude Code経験者が使いやすい理由
両者は「チャットにコードを書かせるツール」というより、作業環境を確認しながら自律的に手順を進めるエージェントです。基本のサイクルは共通しています。
- プロジェクトのファイルを読む
- 変更方針を考える
- 必要なファイルを編集する
- テストやリンターを実行する
- 結果を報告する
そのため、Claude Codeで「このエラーの原因を調べて」「実装前に計画を出して」「変更後にテストして」と依頼している人は、ほぼ同じ頼み方をCodexでも使えます。
Codexの基本的な使い方
1. Codex CLIをインストールする
macOSまたはLinuxでは、公式のスタンドアロンインストーラーを利用できます。
curl -fsSL https://chatgpt.com/codex/install.sh | shWindowsではPowerShell用インストーラーが用意されています。npmやHomebrewを使う方法もあります。
# Windows PowerShell
powershell -ExecutionPolicy ByPass -c "irm https://chatgpt.com/codex/install.ps1 | iex"
# npmを使う場合
npm install -g @openai/codex
# Homebrewを使う場合
brew install --cask codexインストール方法は更新されることがあるため、実行前にCodex CLI公式ページも確認してください。
2. プロジェクトでCodexを起動する
対象のプロジェクトへ移動して、codexを実行します。初回起動時はChatGPTアカウントなど、表示された方法でログインします。
cd /path/to/your-project
codex起動後は、やりたいことを日本語で入力するだけです。最初は、変更を伴わない調査から試すと安全です。
このプロジェクトの構成と、起動方法を説明してください。
まだファイルは変更しないでください。3. 具体的なゴールと確認方法を伝える
「ログイン画面を直して」だけでも動きますが、対象・期待結果・検証方法まで伝えると精度が上がります。
ログイン失敗時に画面が白くなる問題を修正してください。
条件:
- 原因を先に特定する
- 既存のエラー表示デザインを使う
- 修正後に関連テストを実行する
- 最後に変更ファイルとテスト結果を報告する4. 最初に覚えたいスラッシュコマンド
| コマンド | 用途 | 使うタイミング |
|---|---|---|
/init | AGENTS.mdのひな形を作る | プロジェクトのルールをCodexへ伝えたいとき |
/model | モデルと利用可能な推論レベルを選ぶ | 速度や精度を切り替えたいとき |
/permissions | Codexが確認なしで行える操作を変える | 読み取り中心、編集許可などを切り替えるとき |
/plan | 計画モードへ切り替える | 大きな変更の前に方針を確認したいとき |
/diff | 現在のGit差分を表示する | 編集内容を確認したいとき |
/review | 作業ツリーの変更をレビューする | コミット前に不具合やテスト漏れを探すとき |
/compact | 会話を要約してコンテキストを空ける | 長いセッションを継続したいとき |
/status | モデルや権限などの状態を確認する | 現在の設定が分からなくなったとき |
5. 安全な基本ワークフロー
調査だけ依頼する
最初に「まだ変更しないで」と伝え、影響範囲と原因を把握します。
計画を確認する
大きな変更では/planを使い、編集対象と検証方法を合意します。
実装とテストを任せる
変更範囲を明示し、テスト・リンター・ビルドなど必要な確認も依頼します。
差分をレビューする
/diffと/reviewを使い、人間も内容を確認してからコミットします。
注意: 最初から広い権限を与える必要はありません。慣れるまでは読み取り中心で調査し、必要な操作だけ承認する運用が安全です。
6. codex execで非対話実行する
対話画面を開かず、スクリプトやCIから実行したい場合はcodex execを使います。
codex exec "リポジトリ構成を要約し、リスクが高い箇所を5つ挙げてください"公式ドキュメントによると、codex execは標準では読み取り専用サンドボックスで動作します。ファイル編集が必要な自動処理では、実行環境を確認したうえで--sandbox workspace-writeを明示します。
CodexとClaude Codeの共通点・違い
両者は操作感が近い一方、永続設定の置き場所とコマンドの細かな意味が異なります。まずは全体像を比較します。
| 項目 | Codex | Claude Code |
|---|---|---|
| 対話モードの起動 | codex | claude |
| 非対話実行 | codex exec "指示" | claude -p "指示" |
| プロジェクト指示 | AGENTS.md | CLAUDE.md |
| 個人設定 | ~/.codex/config.toml | ~/.claude/settings.json |
| 共有プロジェクト設定 | .codex/config.toml | .claude/settings.json |
| 個人用プロジェクト設定 | 個人プロファイルや上位設定を利用 | .claude/settings.local.json |
| 権限の主な考え方 | サンドボックスと承認ポリシー | permission modeとallow・ask・denyルール |
| MCP | 対応。Codex側で設定 | 対応。Claude Code側で設定 |
| 繰り返し手順 | Skills・Pluginsなど | Skills・Pluginsなど |
最大の違いはAGENTS.mdとCLAUDE.md
Codexは作業開始前にAGENTS.mdを読みます。グローバル設定からプロジェクトルート、現在の作業ディレクトリまでを順に探索し、現在地に近い指示ほど後から連結されるため優先されます。AGENTS.override.mdを使った上書きも可能です。
Claude CodeはCLAUDE.mdを使います。ユーザー共通の~/.claude/CLAUDE.md、プロジェクトのCLAUDE.mdまたは.claude/CLAUDE.md、個人用のCLAUDE.local.mdなどを読み込みます。
重要: Claude Codeは標準ではAGENTS.mdを直接読みません。ただし、CLAUDE.mdに@AGENTS.mdと書けば内容をインポートできます。
CLAUDE.mdの設計を詳しく知りたい方は、CLAUDE.mdの書き方完全ガイドも参考にしてください。
設定ファイルはTOMLとJSON
Codexの個人設定は~/.codex/config.toml、プロジェクト設定は.codex/config.tomlです。モデル、承認ポリシー、サンドボックス、MCPなどを設定できます。プロジェクト設定は、信頼したプロジェクトでのみ読み込まれます。
# .codex/config.toml の例
sandbox_mode = "workspace-write"
approval_policy = "on-request"Claude CodeはJSON形式です。チーム共有は.claude/settings.json、端末固有の設定は.claude/settings.local.jsonに分けられます。権限、環境変数、Hooks、プラグインなどを設定できます。
Claude Code側の設定例は、Claude Codeのsettings.json完全ガイドで詳しく紹介しています。
同名コマンドでも動作は同じとは限らない
| 共通コマンド | Codex | Claude Code | 覚えておきたい差 |
|---|---|---|---|
/init | AGENTS.mdを生成 | CLAUDE.mdを生成 | 生成する指示ファイルが違う |
/model | 現在のモデルと推論レベルを選択 | モデルを切り替え、通常は新規セッションの既定値にも保存 | Claude Codeでは保存範囲を確認する |
/permissions | AutoやRead Onlyなど承認プリセットを変更 | allow・ask・denyルールや作業ディレクトリを管理 | 設定画面の対象が異なる |
/review | 主に現在の作業ツリーをレビュー | 現在の公式仕様ではGitHub PRの単発レビュー | Claude Codeでローカル差分を深く見るなら/code-reviewも候補 |
/mcp | 接続済みMCPツールや診断情報を確認 | 接続一覧に加えて再接続・有効化・無効化・認証を管理 | 管理機能の範囲が違う |
/compact | 会話を要約して空きを作る | 会話を要約して空きを作る | 目的はほぼ同じ |
/plan | 計画モードへ切り替える | 計画モードへ切り替える | 目的は近い |
/status | セッション設定を確認 | バージョン・モデル・アカウント・接続を確認 | 表示項目は異なる |
バージョンやプランによって表示されるコマンドは変わることがあります。暗記するより、セッション内で/を入力して候補を確認するのが確実です。
権限管理の設計思想が違う
Codexは、ファイルやネットワークへどこまでアクセスできるかを決めるサンドボックスと、サンドボックス外の操作をいつ確認するか決める承認ポリシーを分けて考えます。
Claude Codeでは、permission modeとツール単位のallow・ask・denyルールが中心です。たとえば、テストコマンドは許可し、.envの読み取りや危険なコマンドは拒否する、といった指定ができます。
どちらも「確認を減らせば便利」というだけではありません。対象リポジトリ、扱う秘密情報、コマンドの影響範囲を見て、必要最小限の権限にすることが基本です。
CodexとClaude Codeをハイブリッドで使う方法
共通ルールをAGENTS.mdにまとめる
2つを併用するなら、同じルールをAGENTS.mdとCLAUDE.mdへ重複して書くより、共通部分を1か所にまとめる方が保守しやすくなります。
おすすめは、AGENTS.mdを共通ルールの本体にして、Claude CodeのCLAUDE.mdから読み込む構成です。
AGENTS.mdには、両方のエージェントに守ってほしいルールを書きます。
# Repository Guidelines
## Commands
- Install dependencies with `pnpm install`.
- Run `pnpm lint` and `pnpm test` after code changes.
## Development rules
- Reuse existing components before adding a new one.
- Do not edit generated files directly.
- Never commit `.env` files or credentials.
## Completion criteria
- Report changed files and verification results.
- Mention any test that could not be run.CLAUDE.mdでは最初に共通ルールを読み込み、その下へClaude Code固有の内容だけを追加します。
@AGENTS.md
## Claude Code specific
- Use plan mode before changes spanning multiple packages.
- Put personal machine settings in `.claude/settings.local.json`.この方法はAnthropicの公式ドキュメントでも案内されています。シンボリックリンクも使えますが、Claude Code固有ルールを追加でき、Windowsでも扱いやすいインポート方式が実用的です。
ツール固有の設定は混ぜない
AGENTS.mdには「何を守るか」を書き、権限やMCPなどの機械的な設定は各ツールの設定ファイルへ分けます。
| 内容 | 置き場所 |
|---|---|
| テストコマンド、コード規約、完了条件 | AGENTS.md |
| Claude Codeだけに必要な補足 | CLAUDE.md |
| Codexのモデル、サンドボックス、承認 | .codex/config.toml |
| Claude Codeの権限、Hooks、プラグイン | .claude/settings.json |
| 自分のPCだけで使うClaude Code設定 | .claude/settings.local.json |
1つを実装担当、もう1つをレビュー担当にする
最も始めやすい併用方法は、同じファイルを同時に編集させるのではなく、役割を分けることです。
Claude CodeまたはCodexで実装する
片方だけにファイル編集を任せ、テストまで完了させます。
Git差分を確定する
git diffを確認し、必要ならコミットしてレビュー対象を固定します。
もう片方にレビューを依頼する
仕様漏れ、回帰、不足テスト、複雑化など、観点を指定して確認します。
指摘を採用するか人間が判断する
レビュー結果をそのまま適用せず、根拠と影響範囲を確認します。
同時編集は避ける: CodexとClaude Codeを同じ作業ツリーで同時に動かすと、一方が読んだ直後にもう一方がファイルを書き換え、変更の上書きやテスト結果の食い違いが起きます。並列化するなら、別ブランチまたはGit worktreeで作業領域を分離してください。
作業内容で使い分ける
どちらが常に優れているかではなく、利用できるモデル、契約プラン、既存の設定、作業内容で選ぶのが現実的です。
- 普段の実装: 対象プロジェクトで設定が整っている方を使う
- 難しい設計: 両方に独立して案を出させ、前提とトレードオフを比較する
- コードレビュー: 実装に使っていない方をセカンドレビューに使う
- 自動処理: Codexは
codex exec、Claude Codeはclaude -pでスクリプトへ組み込む - MCP連携: 同じサーバーを使う場合も、接続設定と認証はそれぞれで確認する
よくある質問
CodexはCLAUDE.mdを自動で読みますか?
標準のプロジェクト指示ファイルはAGENTS.mdです。Codexのproject_doc_fallback_filenamesへCLAUDE.mdを追加する方法はありますが、両方を併用するなら、共通ルールをAGENTS.mdへ置く方が分かりやすいでしょう。
Claude CodeはAGENTS.mdを自動で読みますか?
自動では読みません。CLAUDE.mdに@AGENTS.mdと書いてインポートするか、必要に応じてシンボリックリンクを使います。
同じスラッシュコマンドなら動作も同じですか?
同じとは限りません。特に/init、/permissions、/review、/modelは対象や保存範囲に違いがあります。実行前に候補画面の説明を確認してください。
同じMCPサーバーを両方で使えますか?
サーバー側が対応する一般的なMCP接続であれば、両方から利用できる場合があります。ただし、CodexとClaude Codeでは設定の保存場所が異なるため、それぞれで接続・環境変数・OAuth認証を設定します。
どちらか1つに絞るべきですか?
必須ではありません。日常作業は1つに寄せつつ、難しい設計やレビューで別のモデルを使うと、設定管理を複雑にしすぎずに両方の強みを活かせます。
まとめ
Codexの基本的な使い方は、プロジェクトでcodexを起動し、自然言語で調査・編集・テストを依頼することです。Claude Codeと操作感は近く、/modelや/compactなど共通するコマンドも多いため、すでにClaude Codeを使っている人なら短時間で慣れられます。
一方で、AGENTS.mdとCLAUDE.md、config.tomlとsettings.json、権限管理、同名コマンドの動作には違いがあります。名前が同じだから同じ設定だと思い込まないことが大切です。
ハイブリッド運用では、共通ルールをAGENTS.mdへ集約し、Claude CodeのCLAUDE.mdから読み込む構成が管理しやすい方法です。実装とレビューで役割を分ければ、作業の衝突を避けながら異なるモデルの視点を活用できます。
次は、Claude CodeのAuto Modeと権限設定や、Codexのサブエージェント活用ガイドもあわせて確認すると、より安全に自動化を進められます。


