Mac miniをAIエージェントの
常時稼働マシンにする設定ガイド
Codex・Claude Codeを24時間動かし続けたい、外出先からスマホで操作したい。そのためには「眠らず、落ちても復帰し、画面なしで動く」マシンが要ります。macOSの電源設定からヘッドレス運用まで、実際のコマンド付きで解説します。
AIエージェントを定期実行させたり、外出先のスマホから自宅のPCを操作したりする使い方が増えています。ただしどちらもマシンが起きていることが大前提です。ノートPCを閉じるとスリープして接続が切れ、停電が起きればそのまま止まります。この記事では、Mac miniのようなデスクトップ型のMacを「止まらない実行環境」に仕立てる手順を、macOSの電源設定を中心に解説します。
なぜ常時稼働マシンを分けるのか
AIコーディングツールを日常的に使っていると、次のような場面に行き当たります。
- cronで毎朝レポートを生成させたいが、その時間にMacが寝ている
- 外出先からスマホでセッションを再開したいのに、接続が切れている
- 長時間かかる処理を回している最中に、うっかりノートPCを閉じてしまった
- 作業用のマシンで重い処理を走らせると、手元の操作までもたつく
普段使いのノートPCを常時起動にしてしまう方法もありますが、持ち歩けなくなるうえ、バッテリーを繋ぎっぱなしにする運用になります。実行専用のマシンを1台分けてしまうほうが、結果的に扱いやすくなります。
ノート型とデスクトップ型で設定が変わります
すでにMacBookをお使いで「閉じたまま動かしたい」という場合は、クラムシェルモードやpmset disablesleepといったノート特有の対処が必要になります。この記事はデスクトップ型を前提としているため、ノートPCで完結させたい場合はMacBookを閉じたまま動かし続ける設定ガイドをご覧ください。
蓋がないため「閉じるとスリープ」という問題が最初から存在しません。加えて電源に常時接続されている前提の機種なので、停電からの自動復帰など常時稼働向けの設定が素直に効きます。
用意するマシンの考え方
具体的な機種選びの前に、判断基準を整理します。
メモリは後から増やせません
Apple Siliconのマシンはメモリがチップに統合されており、購入後に増設できません。ここだけは最初に決め切る必要があります。ストレージは外付けSSDで後から足せるため、優先度はメモリのほうが高くなります。
| 用途 | メモリの目安 | 補足 |
| cronでの定期実行、軽い自動化 | 16GB | クラウドAPI経由で使う分には十分です |
| 複数エージェントの並行動作、重めのビルド | 24〜32GB | 並行数が増えるほどメモリを使います |
| ローカルLLMも動かす | 32GB以上 | モデルのサイズが上限を決めます |
ローカルでモデルを動かす構成を検討している場合、必要な容量はモデル側の条件で決まります。その考え方はローカルで動くモデルとVRAM別構成の記事で扱っています。
本記事の執筆時点で、Mac miniの次期モデルについては発売時期・価格・構成のいずれもAppleから公式発表がなく、各所で出ている数値は憶測を含みます。本記事では特定の機種名や価格を推奨しません。購入時はApple公式サイトまたは販売ページで、現行の構成と価格をご確認ください。
PR
常時稼働用のMacと外付けストレージを探す
メモリは購入後に増設できないため、構成をよく確認してから選んでください。ストレージは外付けSSDで後から補えます。現行の構成・価格は販売ページの表示が最新です。
AmazonでMac miniを探す外付けSSDを探すネットワークは有線を推奨します
常時稼働マシンでいちばん困るのが「気づかないうちに接続が切れている」状態です。Wi-Fiはスリープ復帰時や電波状況で不安定になることがあるため、可能であれば有線LANで繋ぐほうが確実です。有線ポートがない場合はUSB-Cハブやアダプタで追加できます。
macOSの電源設定:眠らせない
ここからが本題です。macOSの電源管理はpmsetコマンドで制御します。設定変更にはroot権限が必要なため、いずれもsudoを付けて実行します。
STEP 1:現在の設定を確認する
変更前に、いまの状態を控えておきます。元に戻したくなったときのためです。
pmset -g customSTEP 2:スリープ関連をまとめて無効化する
-aはすべての電源状態に適用するオプションです。値の単位は分で、0が「無効」を意味します。
# システム全体のスリープを無効化
sudo pmset -a sleep 0
# ディスクの停止を無効化
sudo pmset -a disksleep 0
# ディスプレイのスリープを無効化(不要なら省略可)
sudo pmset -a displaysleep 0
# Power Nap を無効化
sudo pmset -a powernap 0ディスプレイが消えることと、システムがスリープすることは別です。画面が消えてもsleep 0であれば処理は動き続けます。モニターを繋いだまま運用するなら、消費電力の面ではむしろ切れたほうが有利です。用途に合わせて判断してください。
STEP 3:設定が反映されたか確認する
pmset -g出力される一覧でsleepやdisksleepが0になっていれば反映されています。
落ちても復帰させる設定
常時稼働で本当に効いてくるのは、止まったあとに自動で戻ってくるかです。外出中に停電やフリーズが起きた場合、手元で電源ボタンを押せないためです。
停電から自動で復帰させる
sudo pmset -a autorestart 1autorestartは電源が失われたあと、通電が回復したときに自動で起動する設定です。これを入れておかないと、停電のたびに帰宅するまで止まったままになります。
フリーズからの自動再起動
sudo systemsetup -setrestartfreeze onシステムが応答しなくなったときに自動で再起動します。
ネットワーク経由で起こす
sudo pmset -a womp 1wompはWake on LAN(マジックパケットによる起動)を有効にする設定です。万一スリープに入ってしまった場合でも、同じネットワーク上の別端末から起こせるようになります。保険として入れておくと安心です。
比較的新しいバージョンのmacOSでは、電源関連の設定項目に「電源接続時に自動的に起動する」といった選択肢が用意されている場合があります。コマンドに抵抗がある場合は、まずシステム設定側を確認してみてください。項目の名称と場所はmacOSのバージョンによって異なります。
停電そのものに備える
自動復帰の設定を入れても、停電の瞬間に走っていた処理は失われます。書き込み中だった場合はファイルが壊れることもあります。落としたくない処理を任せるなら、無停電電源装置(UPS)を挟んでおくと安全側に倒せます。UPSはmacOSから電源状態を認識できる製品もあり、給電が切れた際に安全にシャットダウンさせる運用も可能です。
PR
停電対策のUPS・電源まわりを探す
常時稼働させるなら、停電時に安全に停止させる手段があると安心です。接続する機器の合計消費電力に対して容量が足りているか、商品ページの仕様をご確認ください。
UPS(無停電電源装置)を探す雷サージ対応の電源タップを探す画面をつながずに運用する(ヘッドレス)
常時稼働マシンにモニターを占有させ続けるのはもったいないため、多くの場合は画面を繋がずに別のPCから操作する形になります。
SSHを有効にする
sudo systemsetup -setremotelogin onこれでターミナルから接続できるようになります。cronでの定期実行やログ確認は、ほとんどSSHで完結します。
画面操作が必要な場合
GUIの操作が必要なときは、macOSの画面共有を有効にすると別のMacから接続できます。システム設定の共有関連の項目から有効化してください。
再起動後に自動で処理を再開させたい場合、自動ログインを有効にする方法があります。ただし自動ログインは、電源さえ入れば誰でもデスクトップに入れる状態を意味します。持ち出さない自宅内のマシンであっても、FileVaultとの関係を含めてリスクを理解したうえで判断してください。安全側に倒すなら、自動ログインを使わず、再起動後は手動またはSSH経由でプロセスを起動する運用が無難です。
外出先から使う
スマホから操作したい場合は、各ツールが提供しているリモート機能を使うのが最も簡単です。設定手順はCodex Remoteの使い方完全ガイドで解説しています。この記事の電源設定と組み合わせると、マシンが眠って接続が切れる問題が起きなくなります。
設定をまとめて適用する
ここまでの設定を一度に流す場合のコマンドです。実行前に必ずpmset -g customで現状を控えてください。
# 眠らせない
sudo pmset -a sleep 0
sudo pmset -a disksleep 0
sudo pmset -a powernap 0
# 落ちても復帰させる
sudo pmset -a autorestart 1
sudo pmset -a womp 1
sudo systemsetup -setrestartfreeze on
# リモート接続を有効化
sudo systemsetup -setremotelogin on
# 確認
pmset -gスリープ設定は値を戻すだけで復帰します。たとえばsudo pmset -a sleep 10で10分後にスリープする状態に戻せます。事前に控えたpmset -g customの出力があれば、元の値をそのまま復元できます。
運用してみて分かる注意点
電気代とファンの音は事前に想定しておく
24時間動かす以上、常に電力を消費します。デスクトップ型のMacは比較的省電力ですが、重い処理が続けばファンも回ります。寝室に置く場合は動作音を確認してから設置場所を決めてください。
自動アップデートで再起動されることがある
OSの自動更新が走ると再起動がかかり、実行中の処理が止まります。常時稼働マシンでは自動更新のタイミングを制御するか、無効にして手動で当てる運用にしておくと事故が減ります。
ログを残さないと原因が分からない
止まったときに手元にいないのが常時稼働です。処理の実行結果をファイルやチャットに残す仕組みを最初に入れておくと、あとから追えます。
常時稼働マシンに自動承認や全許可の設定を入れたまま放置するのは避けてください。人が見ていない状態で、確認なしにコマンドが実行され続ける構成になります。定期実行させる処理は、対象ディレクトリを限定し、破壊的な操作が起きない範囲に絞ってから任せるのが安全です。
よくある質問
Q. MacBookでも同じ設定でいけますか?
電源設定の考え方は共通ですが、ノート型は「蓋を閉じると強制的にスリープする」という別の仕組みが働きます。そのためsleep 0だけでは不十分で、クラムシェルモードやpmset disablesleepといった追加の対処が必要です。詳しくはMacBook向けの記事をご覧ください。
Q. メモリは何GBあれば足りますか?
用途によります。クラウドAPI経由でエージェントを動かすだけなら16GBでも回りますが、複数を並行させたりローカルでモデルを動かしたりするなら32GB以上を検討してください。Apple Siliconは購入後にメモリを増設できないため、迷ったら多めを選ぶほうが後悔しにくい部分です。
Q. クラウドのサーバーを借りるのと、どちらがよいですか?
手元にマシンを置く利点は、データを外部に出さずに済むこと、追加の月額費用がかからないこと、ローカルのファイルをそのまま扱えることです。一方クラウドは初期費用がかからず、停電や故障の心配もありません。ローカルのファイルやGitリポジトリを直接触らせたいかどうかが判断の分かれ目になります。
Q. 設定を戻したくなったらどうすればいいですか?
変更前にpmset -g customの出力を控えておけば、同じ値を指定し直すだけで戻せます。スリープを再び有効にする場合はsudo pmset -a sleep 10のように分数を指定してください。
Q. UPSは本当に必要ですか?
必須ではありません。autorestart 1を設定しておけば、通電が戻った時点で自動的に起動します。ただし停電の瞬間に走っていた処理は失われ、書き込み中のファイルが壊れる可能性もあります。止まって困る処理を任せるかどうかで判断してください。
まとめ
- 常時稼働に必要なのは「眠らせない」「落ちても復帰する」「画面なしで動く」の3点
- 眠らせない設定は
sudo pmset -a sleep 0ほか。値の0が無効化を意味する - 復帰の要は
autorestart 1(停電から自動起動)とsetrestartfreeze on(フリーズから再起動) - ヘッドレス運用は
setremotelogin onでSSHを有効化するところから - Apple Siliconはメモリを後から増設できないため、構成選びで最も重要
- 自動ログインと自動承認の常用は、利便性と引き換えにリスクを負う点に注意
最初の一歩としては、いま使っているMacでpmset -g customを実行して現状を控え、sudo pmset -a sleep 0だけ試してみるのが手軽です。それだけでも「気づいたら止まっていた」という事故はかなり減ります。そのうえで定期実行や外出先からの操作を本格的に組む段階になったら、専用マシンを分ける構成を検討してみてください。

