Codexで「Windowsのセットアップが完了しませんでした」と出るときの対処法|サンドボックス設定の直し方
Windows版ChatGPTアプリでCodexを使い始めたとき、「Windowsのセットアップが完了しませんでした」と表示され、何度やり直しても進まないことがあります。これは、Codexがコマンドを安全に実行するためのWindowsサンドボックスの準備が終わらなかったときの表示です。この記事では、OpenAIの公式ドキュメントに沿って、原因と、試す順番に並べた対処法をまとめます。
先に結論:試す順番
| 順番 | やること | こんな場合に |
|---|---|---|
| 1 | セットアップをやり直し、管理者の確認画面(UAC)で「はい」を選ぶ | 確認画面を閉じた・「いいえ」を選んだ |
| 2 | 会社のIT担当に、必要な設定が許可されているか確認する | 会社が管理するPC・管理者権限がない |
| 3 | MXCが使えるか確認する | Windows 11 24H2・25H2の新しいビルド |
| 4 | 一時的に unelevated に切り替える | 上の方法で直らず、会社のルールで許されている |
| 5 | ログを付けてOpenAIに報告する | どれでも直らない |
この表示について
英語表示では「Windows setup didn’t finish」というメッセージで、「Finish Windows setup」の画面で「Try Windows setup again」を押したときに出ることが、GitHubの報告で確認できます。日本語の「Windowsのセットアップが完了しませんでした」は、この表示の日本語版と考えられます(日本語表示の画面は、筆者は確認できていません)。
原因:Windowsサンドボックスの準備が止まっている
Windows版のChatGPTアプリは、CodexをPowerShell上でネイティブに動かします。その際、Codexが実行するコマンドを、決めた範囲のファイルとネットワークにしか触れられない「サンドボックス」に閉じ込めます。公式ドキュメントでは、Windowsのサンドボックスとして次の3種類が用意されています。
| 種類 | 特徴 | 管理者の承認 |
|---|---|---|
mxc | 推奨。Windowsのプロセス分離機能(MXC)を使う。対応する端末でだけ使える | 不要 |
elevated | MXCが使えないときの第一の代替。専用のサンドボックス用ユーザー、ファイアウォールのルールなどを作る。サンドボックス内のコマンドは管理者権限なしで動く | 必要 |
unelevated | elevatedの準備ができないときの代替。今のユーザーをもとにした制限付きの権限で動く。ネットワークの分離が弱く、読み取り禁止のパスに対応しない | 不要 |
セットアップが終わらないのは、多くの場合 elevated の準備の途中で止まっているときです。公式ドキュメントは、よくある原因として次の5つを挙げています。
- Windowsの管理者の確認画面(UAC)で、承認しなかった
- そのPCで、ローカルのユーザーやグループの作成が許可されていない
- ファイアウォールのルールの変更が許可されていない
- サンドボックス用ユーザーに必要なログオンの権利が、ポリシーで止められている
- そのほかの企業のポリシーが、準備の一部を止めている
対処1:やり直して、管理者の確認画面を承認する
まず、セットアップをもう一度実行し、Windowsの確認画面(「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?」)が出たら「はい」を選びます。確認画面がほかのウィンドウの後ろに隠れていることもあるので、タスクバーも確認してください。
自分のPCで、自分が管理者のアカウントなら、多くはこれで終わります。
確認画面がまったく出ない場合
GitHubには、「Try Windows setup again」を押しても確認画面が出ず、すぐに「Windows setup didn’t finish」に戻ってしまう、という報告があります(2026年8月に報告、10月26日時点でも未解決)。報告者の環境では、ほかのアプリでは確認画面が正常に出ていました。この場合は、下の対処3〜5に進んでください。
対処2:会社のPCなら、IT担当に確認する
会社が管理するPCでは、OSのバージョンに問題がなくても、ポリシーで準備の手順が止められていることがあります。IT担当に、次の3点が許可されているか確認してもらいます。
- 管理者の承認による、ローカルのユーザー・グループの作成
- ファイアウォールの設定
- サンドボックス用ユーザーに必要なログオンの権利
社員に管理者権限がない場合、公式ドキュメントでは、IT担当が管理者権限のある配布用の処理から、社員ごとに事前に準備する方法も案内されています(Codex CLIのコマンドを使います)。
codex sandbox setup --elevated --user 'DOMAIN\alice' --codex-home 'C:\Users\alice\.codex'
ユーザー名とパスは、その社員のWindowsのIDと設定フォルダーに置き換えます。準備が終わると、社員は普通のターミナルからCodexを使えます。
対処3:MXCが使えるか確認する
MXCは、管理者の承認も、追加のWindowsユーザーも、ファイアウォールのルールも使わないサンドボックスです。公式ドキュメントによると、個人向けアカウントでは、端末が対応していればデスクトップアプリが自動でMXCを優先します。
MXCには、Microsoftが順次Windows 11に提供している機能が必要で、Windows 11 24H2(ビルド26100.9278)と25H2(ビルド26200.9278)で導入されました。それより古いビルドでは、Windows Updateで更新すると使えるようになる可能性があります。
Codex CLI(0.162.0以降)を入れている場合は、プロジェクトのフォルダーで次のコマンドを実行すると、保存済みの設定を変えずにMXCを試せます。
codex -c windows.sandbox=mxc sandbox --include-managed-config --permission-profile :workspace -- cmd.exe /d /c echo MXC_OK
$LASTEXITCODE
MXC_OK と表示され、終了コードが 0 なら、MXCで動きます。CLIを単体で使う場合や企業向けの配布では、設定ファイル config.toml に次のように書くと、対応する端末でMXCを使うようになります。
[features]
prefer_mxc = true
会社の管理設定でMXCが禁止されている場合(allow_mxc = false)は使えません。
対処4:一時的にunelevatedに切り替える
上の方法で直らず、会社のルールで許されている場合は、原因を調べている間だけ unelevated を使う方法が公式に案内されています。Codexの個人設定ファイル(ユーザーフォルダーの .codex\config.toml)に次のように書きます。
[windows]
sandbox = "unelevated"
unelevatedは「つなぎ」の設定
unelevatedでも、ファイルへのアクセスの制限(ACLによる境界)はかかり、サンドボックスの中で動きます。ただし、elevatedのような専用ユーザーによる分離がなく、ネットワークの分離が弱く、読み取りを禁止したパスにも対応しません。公式ドキュメントも、長く使う設定としてはすすめていません。原因が分かったら、MXCかelevatedに戻してください。会社のPCでは、管理者が使えるサンドボックスの種類を制限していることがあります。
サンドボックスを外す「フルアクセス」は避ける
エラーを避けるために、サンドボックスなしのフルアクセスで動かすことは避けてください。公式ドキュメントは、フルアクセスではCodexがプロジェクトのフォルダーの外にも触れられ、意図しない破壊的な操作でデータを失うおそれがあると注意しています。
ほかによく出るエラーと対処
| 症状 | 意味と対処(公式ドキュメントより) |
|---|---|
エラー 1385 でコマンドが失敗する | サンドボックス用ユーザーの作成は成功したが、Windowsのポリシーがそのユーザーのログオンを拒否している。IT担当にログオンの権利を確認してもらう。一部のPCだけで起きるなら、グループポリシーやOUの違いを比べる。急ぐなら一時的にunelevated |
| 「一部のフォルダーがEveryoneから書き込み可能」と警告される | そのフォルダーのWindowsの権限が広すぎて、サンドボックスで十分に守れない。警告に出たフォルダーを確認し、問題がなければEveryoneの書き込み権限を外して、Codexを再起動するかセットアップをやり直す |
| サンドボックス内のコマンドがネットワークにつながらない | 作業によっては、意図的にネットワークなしで動く。ネットワークが必要な作業なら、Codexを再起動して試す。続く場合はログを集める |
| 前は動いていたのに、動かなくなった | リポジトリの移動、PCの権限やWindowsのポリシーの変更のあとに起きることがある。Codexを再起動 → MXCなら確認コマンドをやり直し、elevatedならセットアップをやり直す → 必要ならunelevatedで一時しのぎ → ログを集める |
| IDE拡張機能を入れたのに反応しない | C++の開発ツールが足りないことがある。Visual Studio Build Tools(C++のワークロード)とVisual C++ 再頒布可能パッケージ(x64)を入れ、VS Codeを完全に再起動する |
Windowsのバージョン
| Windows | 対応 |
|---|---|
| Windows 11 | 推奨 |
| 最新に更新したWindows 10 | ベストエフォート(動くことはあるが、Windows 11より不安定)。実際にはバージョン1809以降が必要 |
| 古いWindows 10 | 非推奨 |
また、winget(Windows Package Manager)が使えることが前提です。ない場合は、Windowsを更新するか、Windows Package Managerを入れてからセットアップします。
それでも直らないとき:ログを付けて報告する
公式ドキュメントでは、OpenAIに次の情報を送るよう案内しています。
- ログファイル:
CODEX_HOME\.sandbox\sandbox.log(通常はユーザーフォルダーの.codex\.sandbox\sandbox.log) - 何をしようとしていたかの短い説明
- 使っているサンドボックスの種類(mxc・elevated・unelevated)
- アプリに表示されたエラーメッセージ
- 1385などのWindowsやPowerShellのエラーが出たか
- Windowsのビルド番号と、Windows 11か10か
送ってはいけないもの
CODEX_HOME\.sandbox-secrets\ フォルダーの中身は送らないでください。公式ドキュメントで、送らないよう明記されています。
WSLで動かすという選択肢
Linuxのツールが必要な場合や、すでにWSL2で作業している場合は、エージェントをWSLで動かす方法もあります。アプリの Settings で、エージェントを「Windows native」から「WSL」に切り替え、アプリを再起動します(再起動するまで反映されません)。WSLではLinuxのサンドボックスが使われます。WSL1はCodex 0.115以降は対応していません。
よくある質問
Q. 管理者権限がないPCでも、Codexは使えますか?
A. MXCに対応した端末なら、管理者の承認なしでサンドボックスを使えます。MXCが使えない場合は、IT担当に事前の準備(対処2)を頼むか、会社のルールで許されていればunelevatedを使います。
Q. unelevatedに切り替えても大丈夫ですか?
A. サンドボックスの中で動き、ファイルへのアクセスも制限されますが、elevatedよりネットワークの分離が弱くなります。公式も「つなぎ」の扱いなので、原因が分かったらMXCかelevatedに戻すのが安全です。
Q. アプリを入れ直せば直りますか?
A. 入れ直しで直るという公式の案内はありません。GitHubやコミュニティでは、再起動や入れ直しでも直らなかったという報告もあります。まずは原因(管理者の承認・ポリシー・Windowsのビルド)を確認してください。
まとめ
- 「Windowsのセットアップが完了しませんでした」は、CodexのWindowsサンドボックスの準備が終わらなかったという表示
- まずはセットアップをやり直し、管理者の確認画面で「はい」を選ぶ
- 会社のPCでは、ユーザー作成・ファイアウォール・ログオンの権利がポリシーで止められていることが多い。IT担当に確認する
- Windows 11の新しいビルドなら、管理者の承認がいらないMXCが使える可能性がある
- 直らなければ、一時的にunelevatedへ。フルアクセスでサンドボックスを外すのは避ける
今日できる最初の一歩として、「設定」→「システム」→「バージョン情報」でWindowsのエディションとバージョン(24H2など)を確認してください。それによって、MXCを試すか、IT担当に相談するかが決まります。Windowsでスマホから操作する設定は、Codex RemoteをWindowsで使う方法で説明しています。


